ジャポンスキー的コラム

vol.005:日本人のエイズ事情

2007年11月7日 更新

HIVやエイズについて、真面目に考えたことはありますか?
「そういえば最近あまり話題にならないね」なんて声が聞こえてきそうですが、実際は…

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増え続けるHIV感染者数&エイズ患者数

厚生労働省エイズ動向委員会が発表した2006年の資料によると、なんと日本国内でのHIV感染者・エイズ患者はコンスタントに増え続けているのです!
(あまり知られていない事実ですが、ここ数年間はずっと過去最高記録を塗り替え続けています)

HIV感染者数の増加に伴い、残念ながらエイズ患者の数も過去最高となってしまっています。
そのうち8割は日本国籍男性とのことで、これは安易に見過ごすことができない記録です。
地域別で見ると、半数以上が関東圏での感染ですが、それ以外の地域での感染者数は過去最高を記録しています。これまでは都市部での感染がほとんどと言われていましたが、感染地域も確実に拡大しているのです。

つまり、年単位で大々的なエイズキャンペーンを行っているにも関わらず、日本全国でのエイズ状況は悪化の一途を辿っているということです。
そう、日本はこんなにも情報が溢れている国なのに、先進国で唯一、感染者が増え続けている国なのです!
これは一体どういうことなのでしょうか。

そもそも「HIV」と「エイズ」の違いって?

HIV感染=エイズ、ではありません。HIV感染者=エイズ患者、でもありません。
この2つの単語は意味をごちゃ混ぜにしてしまいがちなので、念のため軽く解説しておきます。

HIVとは「ヒト免疫不全ウイルス」の略称で、エイズを引き起こすウイルスの名前です。
感染後の数週間は風邪のような初期症状(発熱や発疹など)が出ますが、その後は非常に長い潜伏期間に入ります。個人差はありますが、平均で8年以上潜伏すると言われています。
感染しても自覚症状が無いため、潜伏期間に性行為等を行うことで感染者を増やしてしまう危険があります。

エイズとは「後天性免疫不全症候群」の略称で、HIV感染によってもたらされる様々な感染症の総称です。
発症すると体内の免疫力が徐々に低下していき、健康体であれば全く害をなさないレベルの細菌やウイルスへの抵抗力が無くなるため、結果として様々な感染症や悪性腫瘍に身体が侵されていきます。
完治させる方法は今のところありませんが、症状の進行を薬で遅らせることは可能です。

何故こんなに感染が広まっているのか

HIVの三大感染経路は「性行為感染」「血液感染」「母子感染」。

このうち、ここ数年の日本国内での感染経路としては「同性間での性行為」によるものが飛びぬけて多く、次いで「異性間での性行為」が多くなっています。
中でも10~20代男性の感染者数が急増していますが、年齢別に見るならば、若い女性(15~24歳)の感染者が多いのも見過ごせません。
どちらにせよ、若い人たちの無防備さが浮き彫りになった結果と言えます。

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しかも2005年11月に厚生労働省によって行われた意識調査によれば、感染について6割以上の日本人が「不安はない」と答えているとのこと。
その調査から2年経った今はどうなのかと想像すると、前述した2006年の感染者数増加のデータと照らし合わせると、改善されているとは考えにくいのが現実です。
そして大人が危機感を持っていなければ、子供が危機感を持つ機会も失われてしまいます。今の若い人たちの感染率が上がっているのは、もしかしたら大人の無関心さが原因なのかもしれませんね。

さらに薬害エイズ問題もほぼ沈静化し、血液製剤によるHIV感染の危機が去った今、日本国内でのエイズに対する関心が明らかに薄れてきているように感じます。
メディアでエイズやHIVという単語が取り上げられる機会も減り、街中のポスターを見てもまるで遠い国での出来事のように感じている人が多いのではないでしょうか。

日本人よ、エイズに屈するな!

逆に考えれば、エイズに関心を持ってさえいれば、予防は決して難しくない病気なのです。

最も身近な予防策としては、当たり前のことですが、コンドームを正しく使用するということ。
日本においてコンドームは「避妊のため」に使うという考え方が根強いようですが(特に若年層はそういう認識が強いのかもしれませんね)、それだけではありません。「風邪をひいたらマスクをする」と同じことですから、お互いのことを少しでも気遣う心があれば、難しいことではないはずです。

それ以前に、不特定多数との性行為は避けるというのも重要な対策といえます。貞操観念がどうのこうのという難しい話以前に、お互いの命を守り合えるパートナーとしか性行為を行わないというのは、何も不思議なことではないはずです。
これは、異性愛だろうが同性愛だろうが同じことですよね。

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それに加えて、エイズ検査を受けに行きましょう!
行きにくいな~と考えているそこのあなた。保健所ならば無料で、しかも匿名で検査を受けることができるってご存知でしたか?
これを読んでいるあなた自身が、是非とも積極的に検査を受けて、周りの人達にもおすすめしてください。長い目で見れば、それで守れる命があるかもしれないのですから。

もし検査の結果、あなたがHIVに感染していたとしたら。
エイズは長らく不治の病と言われてきましたが、薬を飲むことで発症時期を遅らせることができるのです。
HIVに感染していたとしても、早期発見&早期治療によって、普通の人と変わらない生活を送ることができます。その後の人生に対して悲観的になる必要は全くありません。

そしてもし、あなたの大切な人がHIVに感染していたとしたら。
偏見を捨てて、本人と一緒に正しい知識を身につけて、今まで通りに接してください。
それだけで良いのです。特別なことは何も必要ありません。
出来ることであれば、周りからの偏見を一緒に取り除いていくのが良いと思います。

そう、エイズは「正しい知識」と「真っ直ぐな愛」の前では全くもって無力なウイルスなのです!
あなたと、あなたの周りの人達を守るため。まずはほんの少しでも関心を持って、エイズを「知る」ことからはじめてみませんか。